小学校で習いたい内容-その6

読み書きの力をつけるには - 「文字から音が聞こえる!」

以下、「原文」と、2月2日(水)掲載記事です。掲載記事には、後半に「イマジネーション・メソッド」となっていますが、正しくは、原文の通り、「イマージョン・メソッド」 (Immersion Method) です。

2010.3.17 新井小6年「桃太郎」練習
2010.3.17 新井小6年「桃太郎」練習

■2009年度の新井小英語授業の仕上げとして、英語劇「桃太郎」を5,6年の全クラスで実施しました。私が台本に書いた台詞は、英文と、その和訳でした。担任の先生たち(CRT)の一部は、「英文が読めるはずがないのに、子供たちは発声練習をしてくれるだろうか?」と、心配なさっておられました。私は、「大丈夫。自信を持って発音指導なさってください。困ったら助けますから」…結局5回の練習で、全てのクラスが立派に楽しく披露してくれて、大成功でした。

 

■「英文の台詞は、読むべきもの」という固定観念を一蹴した瞬間でもありました。私の教室で今年度上演したオリジナルの「はね馬」ではなく、CRTも子供たちも馴染みが深い題材を選んだことも幸いしました。

 

■子供たちを観察していると、和訳はちらりと読むだけで、英文に、CRTの発音を聴いて、平仮名や片仮名をふっていました。私の指示は、「聞こえた通りにルビを書いていいよ。でも薄く書いて、覚えたら消しちゃいましょう。その時こそ、台詞が暗唱できた時です」でした。結局、約半数は、私の指示に従い、「英語が読める!」と喜んでくれました。残りの半数は、ルビだけで暗唱しました。写真の場面は、お爺さん、お婆さんがびっくりして、”Who are you?” – “I’m Momo-Taro. I will conquer Ogres.” です。この場合、従来型英語学習は、「be-動詞、am is, areの区別」から「読み書き学習」を始めて、「come, go, likeのような単純な一般動詞のQ-A」、そして、「過去形、未来形」と、英文構造の難易度を重視し過ぎているのではないでしょうか?それも大切なことに違いありませんが、時には、架空であれ「実際場面」の中で発話する感動を体験させることも大切だと思います。「桃太郎」に限らず、海外へ観光旅行なさる大人たちが即席で英会話の学習をする場合、CDを聴いて、その英文をしっかり見ながら発話練習を繰り返すはずです。ルビに頼らず、ついでに「英単語の一つも読めたらいい」と思っています。外国の現地で、自分の英語が通じたり、看板やメニューが読めた時の喜びを期待しながら発音練習しているはずです。

 

■とりわけコミュニケーション英文には、その場面特有の、具体的な身振り、表情、周りの状況が張り付いていますね。実際に外国まで行かずとも、「桃、包丁、仮面、衣装、効果音」等の道具類を駆使することで、自分の役割が自覚でき、英文台詞を見たとたん、「文字から音が聞こえてくる」ようになります。これをイマージョン・メソッド学習といいます。

 

■「読み書きは難しいから中学へ進学してから」と決め付けることには賛成できません。

2月2日(水)上越タイムス掲載
2月2日(水)上越タイムス掲載