小学英語で扱いたい内容―その3:「良い発音指導のコツ」-2

意味群の発見と習得

■英米人は幼児でも、 ①“Jack and Jill” ②“went up” ③“the hill.”と、3つの意味群を無意識に発見して発話します。例えば、 “Jack” “and Jill” “went” “up the” “hill.”のようには言いません。同じように、 “Give” “me candy.”とは言わず、どんなにゆっくり言っても、 ①“Give me” ②“candy.”のように2つの塊として発話するのが普通です。実は、①から②、②から③までの発音上の所要時間は同じになろうとします。これを「等時性」と言います。

 

■つまり、指導者として「生徒に良い発音を指導できる」ために早急にマスターしていただきたい条件は、最低二つあります。第一は、連載⑫でも触れた「母音と子音の個々音とフォニックス」、第二が、この「等時性」です。

 

■一つの意味群(又は、”Give me candy.”のような短い一つの文)には、一つしか文強勢(強く発音する母音)がないために、二つの文強勢間にある弱強勢(より弱く発音する母音と子音部分)の音節が少ない時は、その弱音節はゆっくり発音されますが、反対に弱音節の数が多いほど、それらは自然スピーディに発音されることになります。

 

■英語指導を専門としてこなかった多くの小学校教員の悩みが、ここに出てきます。「意味群を生徒にどう指導すべきか?」…全国一斉に5,6年を対象に始まる「小学校英語学習」まであと4カ月しかありません。先ずは、「学級担任自身が授業進行中で頻繁に使うだろう指示英文」(100文以内で充分です)の発音を、「個々音と等時性に基づいて」訓練することが急務です。

 

■意味群の発見による指示英文発音を磨くためには、基本的には、「英語独特の文構造」を、つまり、「主語、動詞、補語、目的語と、副詞(句又は節)」それぞれが「最低単位の意味群」になりますので、このことを意識して発音練習してほしいのです。しかし、この作業は、物語のような文章、又はその中の一節の内容を理解した上で発音練習するのが理想ですので、長期的な自修課題です。

 

■とりあえずは、短文の指示英語の発音を磨くことから始めましょう。例えば、 “Make a line.” (一列になってね)の場合、「伝えたい内容語=意味群」と考えます。この場合、 “line”が、1文中の「文強勢」であることは多少なりとも英語を学習した方なら直感でわかります。つまり、“Make a”をばらばらに発音してはいけません。「メイクァ・ライン.」のように発音しましょう。“Are you ready?” (用意はいい?) なら、「アーユ・レディ?」のように…「意味群」を意識して練習してください。

 

■次回は「聞く力をつける指導のコツについて」を予定しています。

2010.11.26(金) 上越タイムスに掲載
2010.11.26(金) 上越タイムスに掲載